「中島 あの,太極のマークありますよね。陰陽のマーク。「陰中陽有リ,陽中陰有リ」という。要するに世界は光と蔭でできてるんだということで。ただおれは光寄りのほうでいようといつも思っています。だから作るものも,どうせ作り物なんだから,何も人を嫌な気分にさせるようなものは絶対作らない。読んで元気がでるようなもん作ろう,あるいは,「ようこんなバカなこと書くな」みたいなものにしようというのは,自分の鉄則ですね。
 文学でつらい苦しいものが多いですけれども,自分の苦しみとか,悩みとかを人になすりつける行為は,金をとる資格はないと思います。光をきわ立たせるためには,陰も必要ですから,それでメランコリーも必要ではあるんですけれども,そればっかりの作品というのは自分では読みたくないですね。太宰治なんか読みたくないですね。・・・・・・
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中島 いや,考えたんですよ。“らも教”というのを。ダライ・ラモ(笑)。ただ,教える教義がなんにも思いつかない。」

らもさんのご冥福をお祈りします。