夏目漱石「こころ」

 やっと読了。僕は元来、本を読むのに時間がかかるが、こんなに読みやすい本でも、何日もかかってしまった。これは僕の読書法が、小説を読む読み方でないことに由来すると思う。小学校高学年から、中学生にかけて、図書館の子供コーナーから、大人コーナーにメインを移動させるとき、思春期に入りかかった僕にとって、大人の小説、大人が主人公の小説は、共感や共通項を見出しにくかったから、天文学や環境問題などの専門書や実用書、雑学系に興味が移ったからだ。小学校のときは、子供向け小説をたくさん読んだ。その橋渡しが上手くいかなかった。

 教科書か何かで、最終章の「先生と私」を少し読んだことがあったが、テーマを現在の自分と照らすと、ちょっと重くなった。卒業と、死。これから先どう生きるのか、そんなことを考えた。

 「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」